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2018年12月21日金曜日

コマンドラインオプションの実装に使えるライブラリThor Wiki 日本語訳

Rubyに限った話ではないけども, コマンドラインから実行するスクリプトを書く際, コマンドラインオプションのパース部分をもっときれいに書けないか, わたしはいつも悩む.
これまで, べた書きをしてみたり, GNU由来のgetopt, getopt_long, 標準で用意されているOptionParserといったライブラリを使ってみたりした. またいろいろなOSSのオプション解析ルーチンを探っては読んでみたりもした. 今まで書いたり読んだりした中で自分が比較的しっくりきたのはOptionParserだけれども, 処理のスタイルはコードによって皆バラバラで, どうも「コレ」と言ったものが見当たらない…….
さて, 書いているソフトがある程度複雑になり仕様も大きくなってくると, オプション指定の形式として, gitのようなサブコマンドを受け付ける方式を導入したくなってくる. なぜなら, 仕様を整理したり実際にソフトを使用したりする際に, 機能的なまとまりがはっきりしてわかりやすいからだ.
そこで今回わたしは, サブコマンド形式を受け付けるようなオプション解析ライブラリがないか, Web上にあるコマンドライン・オプションのパーサに関する記事やRubyGems(とりあえずはRubyで入り用なので)を調査してみた. 候補は多数あったが, 現時点では以下の2つがわたしには魅力的に映った:
  • thor (トール, またはソー. 語源は北欧神話の戦神, 雷神, 農耕神からだろう) - これはRubyGemsの説明によればCommand-line User Interface(CUI)のためのツールキットである. githubにあるソースの履歴を見てみると, もともとはrakeやsakeの代替えを意識していたようだ. またコードジェネレーターのニュアンスが強い. ThorのHPによれば, Bundler, Vagrant, Railsで使われているとのことだ (githubでコード検索したところRails 5でも使われていた)
  • gli (Git-Like Interface Command Line Parser) - これはコマンドライン・オプションの処理を重きをおいているようだ. ヘルプの半自動作成の他, Bashの補完のための機能まであるらしい.
見たところgliも魅力的に思える. が, 今回はthorを試してみようと思う. 著名なライブラリでも使われているからだ. そこでまずThorのWikiを日本語訳してみたのがこの記事だ. 対象は以下の通り:
  • thor version 0.19.4
  • Copyright (c) 2008 Yehuda Katz, José Valim, et al.
  • ライセンス - MIT LICENSE

ツアー・ガイド Guided Tour

このページで, Thorを始めるにあたって基本的な説明については見つけられるだろう (訳注: とりあえず試してみたい方は, 列挙の下にある「基本的な使い方」とThor HP を読むのが手っ取り早いと思います). より詳しい情報は以下のサブページで読める.
On this page, you will find basic instructions on how to get started. Further information is available in the following subpages.
  • はじめに Getting Started -
    Thorの基本のイントロダクション. タスク, パラメータ, オプションの説明とともに簡単な例がある.
    Introduction to Thor conventions. Includes a simple example with explanations of tasks, parameters, and options.
  • メソッドオプション Method Options -
    Thorタスクにオプションを定義するときのやり方について説明する.
    Explains what you can do when defining options for Thor tasks.
  • 実行 Invocations -
    Thorの実行依存性の機能を使って, 誤って同じタスクが何度も実行されないよう, どうやってThorのタスク同士を組み合わせて使うかについて示す.
    Shows how you can have Thor tasks depend on other Thor tasks without accidentally invoking the same task more than once using Thor’s invocation-dependency features.
  • グループ Groups -
    Thor::Group は, 複数のタスクを順番に実行するのに便利だ.
    Thor::Group is an easy way to run multiple tasks as a sequence.
  • アクション Actions -
    Thor::Actions は, ファイルシステムとのインタラクションや, コマンドラインでの対話的機能といった, 典型的なアクションをするThorタスクを, 簡単にするために役立つ.
    Thor::Actions are helpers for your Thor tasks that make typical actions, like file system interaction or command line user dialogue, easier.
  • 名前空間 Namespaces -
    独自のThorクラスを定義することもできる.
    You can define your Thor classes under Namespaces
  • 実行ファイルを作る Making An Executable -
    thor コマンドなしに, Thorのタスクを直接実行する.
    Run your Thor task directly, without the thor command.
  • ジェネレータ Generators -
    カスタムのジェネレータを定義するのにThorを使った一例 (Rails 3 のジェネレータとして知られる)
    An example using Thor to define custom generators (aka Rails 3 generators).

基本的な使い方 Basic Usage

オプションもろもろをひとつのクラスに対応付ける. 単純に, 適切なアノテーションを与えたクラスをひとつ作り, もろもろのオプションを, 関数とパラメータ群に自動でマップさせる.
Map options to a class. Simply create a class with the appropriate annotations
and have options automatically map to functions and parameters.
例:
class App < Thor                                                 # [1]
  package_name "App"                                             # [2]
  map "-L" => :list                                              # [3]

  desc "install APP_NAME", "install one of the available apps"   # [4]
  method_options :force => :boolean, :alias => :string           # [5]
  def install(name)
    user_alias = options[:alias]
    if options.force?
      # do something
    end
    # other code
  end

  desc "list [SEARCH]", "list all of the available apps, limited by SEARCH"
  def list(search="")
    # list everything
  end
end
Thorはこのように自動でコマンド群をマップする:
Thor automatically maps commands as such:
thor app:install myname --force
これは以下のように変換される:
That gets converted to:
App.new.install("myname")
# with {'force' => true} as options hash
  1. クラスをオプション・マッパーへと変換するため, Thorクラスから継承する.
    Inherit from Thor to turn a class into an option mapper.
  2. Thorアプリに命名をし, コンソール/デバッグ出力に認識させる.
    Allows a Thor application to be named and be recognized on console/debug output.
  3. 非正規の識別子もろもろを, 特定のメソッドに追加でマップする. この例では -L:list へと変換する指定をしている.
    Map additional non-valid identifiers to specific methods. In this case, convert -L to :list
  4. その下にメソッドの説明を直接書く. 最初のパラメータは使用方法で, 2番めのパラメータは説明だ.
    Describe the method immediately below. The first parameter is the usage information, and the second parameter is the description.
  5. 任意に追加のメソッドのオプションを与える (訳注: この例では boolean型の --force と string型の --alias という2つのオプションを, まとめて定義している. ひとつずつ定義したい場合は method_option (末尾にsなし) または option を使う).
    Provide any additional method options.

さらに理解を深めるには Further Reading

Thorにはこれら上述の例を越えた多くのスクリプト機能がある. 使用可能なオプション群についてより深く理解するには, ドキュメント仕様 を一通り読んで確認してみること.
いろいろなユーザたちがどのようにThorを使っているか見てみるには, ‘require thor’ で Githubの検索 をするか Gisthubの検索 をしてみればよい (ただし, 見つけられた コードは Thorの正式な使い方であるという保証はない).
Thor offers many scripting possibilities beyond these examples. Be sure to read
through the documentation and specs to get a better understanding of the options available.
To see how users use Thor, you can search Github or search Gisthub for ‘require thor’. The code you find is user submitted content that has no warranty of correct usage of Thor.
#

2018年9月11日火曜日

中小企業向けサイバーセキュリティ対策の極意 (無料)


東京都産業労働局が, 『中小企業向けサイバーセキュリティ対策の極意』というPDF資料を配布している. 全193ページ, 5章からなる構成で, 無料である.
ページ下部のリンクからダウンロードできる.

2018年8月29日水曜日

"SafariBookmarksSyncAgentが予期しない理由で終了しました" の修正方法

いつのタイミングか忘れてしまったが, Safari を起動するとエラーメッセージが出るようになってしまってい, ブクマ登録もできなくなってしまった. これは ~/Library/Safari/Bookmarks.plist を作り直すことで, 直すことができる.
この記事では, 当該現象と原因, 修正方法を述べる.

2018年3月19日月曜日

国内・海外の証券会社とAPI公開状況 (2013年版)

下記は2013年に調べたものなので一部情報が古いかもしれない. 「海外」としたが, 時間的な制約から, 英語圏しか調査は行っていない.

2018年3月10日土曜日

debug/enbug

エンバグという単語について調べていたら, ジャーゴンとしては存在する単語であることがわかった (したがって, 和製英語というわけではない). 下記のY-Combinatorの掲示板で触れられていた:
Sorry to burst your bubble, but there exists enbug.org whose about page ([http://enbug.org/AboutThisSite](http://enbug.org/AboutThisSite)) says:

    The meaning of enbug is the opposite of the word debug, namely, to add errors or defects into software or hardware. 

That page was last edited on 2007-03-04.

2018年2月19日月曜日

macOS High SierraでKarabiner-Elementsだけで親指シフト入力環境を構築する方法

!!!!あたらしい記事が ここ にあります!!!!
Fortniteが動くかとおもいEl Capitan (10.11.x) から一気にHigh Sierraにアップグレードしてみたものの, グラボがないとダメですと言われてゲームが起動できなかった.
これまで私がSierra系に更新していなかった理由は, Karabinerが動かないと聞いていたからだ. こうなったらSierra以降向けに開発されているという Karabiner-Elements (KE) で, 無理矢理NICOLA配列での親指シフト入力環境を実現する しかない……というわけで, とりあえず動くものができたので公開します.
動作確認した環境は下記:
  • OS version - macOS High Sierra (10.13.3)
  • IME - Google 日本語入力 2.20.2700.1 (基本設定: ローマ字入力)
  • Karabiner-Elements version - 11.5.0
試してないけどSierraでもイケると思う.
インプリしたのは, とりあえず NICOLA配列 (JAWP) で, 右シフトを「変換」キー, 左シフトを「無変換」キーとしています.
現状のこのNICOLA配列の実装の不具合としては:
  • けっこう前もって (よっこらしょという感じで) 親指シフトキーを押す必要がある
  • ときどきシフト状況が正確に把握されないことがある
という点が挙げられます. もっとうまい書き方があるかもしれない.

使い方

Karabiner-Elements (KE) をインストールしてから,
上記の2つのjsonファイルをダウンロードして, ディレクトリ: $HOME/.config/karabiner/assets/complex_modifications/ に格納してください.
次に, Karabiner-Elementsを起動してから Preferences... を開き, Complex Modifications タブを選択します. 下の方にある Add rule ボタンを押すと, 設定の一覧が出てきます.
この一覧の下の方に, 「無変換, 変換キーでIME Off, On」, 「親指シフト入力のためのNICOLA配列」があるので, Enableして下さい.

おおまかな仕組み

シフトごとにフラグとなる変数: Oyayubi-R, Oyayubi-L, Oyayubi-Any (右か左のどちらかが押されたとき用) を用意 (set_variable) して, 押下されたらセット, 離されたらリセットしています. この処理の記述をしているのが, muhenkan_henkan_ime.json です.
フラグの状態とIMEの状態に応じてmanipulateの処理が決まります. こちらは nicola_genenerated.json で記述しています.
ファイル名から察しがつくように, いちいちキー一つ一つの設定を書いていくのは面倒なので, 設定のためのjsonジェネレータをRubyで書いた――のだけど, こういうものがあると後から知った:

Conclusion

macOS High Serraで, Karabiner-Elementsだけで親指シフト入力を可能にした.

References

実装するにあたり, 以下のドキュメントが役に立ちました.

2017年12月10日日曜日

つぶやき日記2017-12-10

  • Mac環境のPythonパッケージであるANACONDAをインストールしたら, PATHが変わってiconvがうまく動かなくなって (conversion from CP943 unsupported) しまっていたことに気づいた. -f CP943というオプションが使えない /Users/user_name/anaconda/bin ではなく, MacOSがシステム標準で用意している/usr/bin/iconvを使用するようにした.
  • k-db.comが今年いっぱいでサービス停止とのこと.

2017年11月19日日曜日

[Ruby]モジュールに継承/派生っぽいことをさせてみる試み

組み込みライブラリもしくは既存のクラスclassやモジュールmoduleを, 特定の用途向けに一部だけ改変したいことがある. その際, できればモンキーパッチはしたくない.
このような場合, クラスならば class DerivedKlass < OriginalKlass として継承を使える. 派生クラスを作ることで, 元のクラスのコピーを作り, それを改変すればいい.
ではモジュールの場合は, どうしたらよいだろう? ここでは, Mathを取り上げて考えてみる.
最初に, include/extend/refineという既存の方法の検討をおこない問題点を明らかにする. 次に, これらの問題点を解決する Module#module_compose の導入を提案する.

2017年11月16日木曜日

Rubyの実験: Moduleのprivateインスタンスメソッド

Moduleのprivateインスタンスメソッド, 具体的にはModule::module_functionのふるまいで, 腑に落ちない点があった. 派生先のClassクラス (ひいては一般に定義されたクラス) からなぜ使えないのか? ということで, 実験した. 結論的には 仕様だった, という落ちでした……w

2017年11月8日水曜日

Rubyの実験: Object/Class/Module/Kernelにメソッドを追加するとどうなるか?

Object/Class/Module/Kernelにメソッドを追加すると, これらや一般のクラス, モジュールやインスタンスに対してどのような影響があるか, 調べるコードを書いてみた. 追加するメソッドはインスタンスメソッドと特異メソッドで, 両方publicの可視属性です.